■西洋占星術とは
西洋占星術とは、天体が地球や事象、人類に及ぼす影響を読み解き、その本質を掘り下げていく術になります。 人が生まれた瞬間や事が生じた瞬間に、天体がどのような配置であるかで、運命を読み解きます。 本質的な可能性や運勢の傾向、未来予測などをしていきます。
西洋占星術
未来予測
占星術とは、一般に天体が地上にもたらす影響を研究するという学問でもあります。 占星術で扱われる天体が、地球やそこで生活する人類に対してどのように関わり、地球や人類がどのような影響を受けるのかを掘り下げていきます。 事が起こった時点での天体の配置から、物事の本質を掘り下げていくというのが基本でもあり、一般の占星術では人が生まれた時点での天体の配置から、その人の人生や宿命を読み解きます。
アラブ世界や西洋の国々で発展してきた占星術を西洋占星術と呼び、インドで発達した占星術をインド占星術と呼びます。 また、東アジアで発展してきた占星術は東洋占星術と呼ばれています。 ここでは、中東やヨーロッパで発展してきた西洋占星術を解説しています。
■西洋占星術の発祥
占星術は、古代バビロニアで行われていた天体観測が起源となります。 その時代は紀元前二千年頃とも言われ、天体と神々を結び付け、地上に影響を与えていると考えられていました。 天体の運行が地上にどのような影響を与えているのかを占い、国家の安泰や繁栄の吉凶を判断する基準として考えられていたのが占星術の起源となります。 現在の「マンデン占星術」と呼ばれている西洋占星術の手法でもあります。
その後、バビロニアの占星術は、ギリシャに伝わり、個人の運勢を占う現在の西洋占星術の基本体型を確立していくことになります。 人が生まれた時点の天体の配置から、その人の持つ宿命や潜在能力を読み解くのが西洋占星術の基本になります。 国家の盛衰を占っていた古代バビロニアの占星術を、ギリシャ人が個人の運勢を読み解く大衆向けの占星術に発展させた推移があります。
※古代バビロニアとは、現代のイラク南部、ティグリス川とユーフラテス川下流の地域。 北は現在のバグダード周辺、南はペルシア湾、東はザグロス山脈で、西はシリア砂漠やアラビア砂漠の地域。
西洋占星術の発祥
古代バビロニア
■西洋占星術の占い方
最初に西洋占星術で占いをする際には、人の生年月日、出生時間と出生場所から、出生時の天体の配置を算出します。 この図を出生図やホロスコープと呼び、西洋占星術を行う際の基本的な図になります。 現代ではPCが発展しているため、この作業はPCで算出することが多くなっています。 かつては天文歴などを参照し、手書きでのホロスコープの作成をしていました。 PCの発展と共に、西洋占星術の詳細さも飛躍的な発展を遂げ、より詳細で幅の広い鑑定を短時間で行えるようになりました。
西洋占星術は、出生時の天体配置でもある出生図から、人の持つ宿命や潜在能力を掘り下げていくことができます。 また、天体の運行と出生時の天体との関係性から、未来予測や運勢の盛衰を占うことができます。 持って生まれた基本的な運勢や能力を元にし、その可能性を最大限に発揮するために時期と方向性を考察し、対策を講じるのが基本的な西洋占星術の使い方になります。
西洋占星術の進化
能力診断
■西洋占星術で考慮する天体
西洋占星術では、基本中の基本になるのが太陽系の惑星、準惑星、地球の衛星の10天体になります。 この10天体は「太陽」「月」「水星」「金星」「火星」「木星」「土星」「天王星」「海王星」「冥王星」になります。 この他に小惑星なども考慮して鑑定を進めていくことがあります。 代表的な小惑星では、「セレス」「パラス」「ジュノー」「ベスタ」「キロン」「リリス」などがあります。
太陽系
恒星
このように一般的には太陽系の惑星や衛星、準惑星や小惑星などをメインに考察していきます。 その他に、太陽系外の重要な恒星を考慮し、鑑定に取り入れていく手法もあります。 古代の占星術では、太陽とシリウス(おおいぬ座で最も明るい恒星)から吉凶を判断していたというように、重要な恒星は太陽系外でも影響力は強いとする考え方になります。 代表的な恒星では、「アルデバラン」「レグルス」「アンタレス」「フォーマルハウト」はロイヤルスターとも呼ばれ、天使の星、王の星とも呼ばれています。
主要天体 | 太陽 月 水星 金星 火星 木星 土星 天王星 海王星 冥王星 |
小惑星 | セレス パラス ジュノー ベスタ キロン リリスなど |
恒星 | アルデバラン レグルス アンタレス フォーマルハウトなど |
■西洋占星術と黄道十二宮(サイン)
黄道座標とは、天体の位置を表すための座標系の一種であり、黄道を基準としています。 黄経(360度)を12等分した領域(各30度)を黄道十二宮と呼びます。 それぞれの宮は、「白羊宮」「金牛宮」「双児宮」「巨蟹宮」「獅子宮」「処女宮」「天秤宮」「天蝎宮」「人馬宮」「磨羯宮」「宝瓶宮」「双魚宮」と呼ばれます。
生まれた時の太陽の黄経が黄道十二宮のどの宮に位置しているのかで、その人の一般的な太陽星座が決まります。 この他にも、生まれた時の月の黄経がどの宮に位置しているのかで、その人の月星座が決まります。 同じように、西洋占星術で考慮する天体が、それぞれどの宮に位置しているのかで、水星星座、火星星座、木星星座などが決まります。
星座イメージ
牡羊座
黄道十二宮 | サイン | 黄道十二宮 | サイン |
白羊宮 | 牡羊 | 天秤宮 | 天秤 |
金牛宮 | 牡牛 | 天蝎宮 | 蠍 |
双児宮 | 双子 | 人馬宮 | 射手 |
巨蟹宮 | 蟹 | 磨羯宮 | 山羊 |
獅子宮 | 獅子 | 宝瓶宮 | 水瓶 |
処女宮 | 処女 | 双魚宮 | 魚 |
■西洋占星術の十二室(ハウス)
黄道十二宮の考え方は、黄経を12等分する各30度方式でしたが、十二室の考え方は、黄道を各基準によって12分割していきます。 この分割法やその基準は、様々であり、その土地柄によって、向き不向きなどもあります。 黄道十二宮のように等分割する手法もあれば、太陽が通過する時間に合わせて分割する手法もあります。
ここでは、太陽が通過する時間に合わせて分割する手法、プラシーダス分割法を基準にしています。 ハウスシステムの分割方式は様々ではありますが、その意味するところは基本同じ事柄になります。 各国や土地により、向き不向きがあるのがこの分割法でもあるため、様々な分割法が存在しています。
十二室 | Nサイン | 十二室 | Nサイン |
1ハウス | 牡羊 | 7ハウス | 天秤 |
2ハウス | 牡牛 | 8ハウス | 蠍 |
3ハウス | 双子 | 9ハウス | 射手 |
4ハウス | 蟹 | 10ハウス | 山羊 |
5ハウス | 獅子 | 11ハウス | 水瓶 |
6ハウス | 処女 | 12ハウス | 魚 |
■西洋占星術のアスペクト
西洋占星術では、考慮する天体同士が、どのような角度を形成しているのかが大事な要素になります。 その天体が意味する事柄が、良い結果になるのか、そうでないのかを判断する際、このアスペクトが大きな意味合いを持ちます。 一般には良い角度の際には良い結果を生み出すと判断し、悪い角度の際には問題が生じると判断します。 天体や状況により、逆転現象なども起こりますが、基本的な考え方は、その天体の表す事象に関しての結果が、良いか悪いかというところになります。
重要視するアスペクトを「メジャーアスペクト」と呼び、その補佐的なアスペクトを「マイナーアスペクト」と呼びます。 メジャーアスペクトだから必ずしも強い影響力を持つという訳ではなく、その度数の誤差(オーブ)により、強く出るか否かなどが分かれてきます。 また、マイナーアスペクトだからと言って、影響力が弱いわけではなく、その度数の誤差(オーブ)が狭い場合には、メジャーアスペクトよりも強く影響することがあります。
メジャーアスペクトは、「0度」「60度」「90度」「120度」「180度」とされていますが、近代では「150度」もメジャーアスペクトとして考慮されることがあります。 マイナーアスペクトは、「30度」「45度」「52度」「72度」「135度」などがありますが、この倍数や半分などもあり、かなりの多くのアスペクトが存在します。
西洋占星術でのアスペクトの考え方の基本は、その天体に関しての結果が良く出るか、悪く出るかという部分になります。
度数 | 名称 |
0度 | コンジャンクション |
180度 | オポジション |
60度 | セクステル |
120度 | トリン |
90度 | スクエア |
150度 | インコンジャンクト |
度数 | 名称 |
30度 | セミセクステル |
45度 | セミスクエア |
51.~度 | セプタイル |
72度 | クインテル |
135度 | セスキコードレイト |
その他 | その他多数あり |
■トランジット
西洋占星術では、人が生まれた時の星の配置を示す出生図を元に鑑定をしていきます。 出生図は人の生まれ持った潜在能力であり、人生の傾向を指し示すものとなります。 持って生まれた性格や能力を表しているのが出生図であります。
天体は止まることなく常に運行しています。 今現在の天体の配置を示すずは経過図(トランジット)と呼ばれ、どのような星回りにあるのかを表しています。 今の太陽が○○座にある。新月や満月はいつかなど。は、運行している天体を見て、サイン変化みることや、新月や満月がいつになるのかを求めます。 この経過図と出生図の関係を掘り下げていくのが未来予測でもあります。 運行している天体が、生まれ持った出生図の配置とどのような関係を持つかで、物事の動向を見極めていきます。
地球や地球上の人類は、常に天体からの影響を受けており、その影響を読み解くのがトランジットでもあります。 出生図の天体と特定のアスペクトを形成した時に、事が起こるというのがトランジットの基本的な考え方になります。 特に出生図の重要な点体にして、経過している重要な天体が0度を形成する時に影響が強く出るとされます。 アスペクトの吉凶で、起こる事柄の吉凶をみていくこと、関わる天体同士から、起こるであろう出来事を掘り下げていきます。
地球のイメージ
トランジット
■プログレス ソーラーアーク・ディレクション
経過図(プログレス)は、様々な方式がありますが、ここでは1日1年法での解説をしていきます。 出生年月日から1日後の天体の配置を、1年間の運勢表す経過図として考えていく手法になります。 出生時から30日後の経過図は、30歳の運勢を表していると考えます。 この手法で大事になるのは、特に個人天体と言われる太陽~火星までの天体の変化や状態になります。 これらの天体がどのような状況になるのかで、運勢の傾向を把握していきます。 そしてその傾向が具体的にいつ起こるのかを掘り下げていくのがトランジットの解読になります。
プログレス
ディレクション
ソーラーアーク・ディレクションは、プログレスとは違い、太陽が1日に動く度数を1年として、すべての天体を同じ度数進めていく算出法になります。 色々な算出法がありますが、基本はこの算出法での解説になります。 出生図から1年後の運勢を占う際には、出生図から1日後に太陽が動いた度数を元に、全ての天体を同じ度数進めた図から1年後の運勢を算出します。 30年後の運勢を占う場合には、出生図から30日後に太陽が動いた30日分の度数を元に、全ての天体を同じ割合で進めた図を30年後の運勢として算出します。 このソーラーアーク・ディレクションで重要になるのは、木星~冥王星までの外惑星の運行になります。 プログレスでは余り動くことがない外惑星が、このソーラーアーク・ディレクションでは、大きく動くことになるため、色々な影響を見ることができます。 そして、外惑星は木星以外はマレフィックになるため、どちらかというと、トラブルや問題となるものを掘り下げることができます。
プログレスもソーラーアーク・ディレクションも、考慮する際にはオーブは1度であり、0度を形成する前後約1年がその影響を受けやすい範囲になります。 その中で具体的にいつ、どのようなことが起こるのかは、トランジットを参考に掘り下げていくのが分かりやすい活用法になります。
度数 | 名称 |
トランジット | その時々の天体配置 プログレスやディレクションで運勢の傾向を考察し、具体的な時期や状況を算出する |
プログレス | 出生図から1日後の天体配置図を1年後の運勢として考慮 30日後の配置図は30歳の運勢として検証する |
ディレクション | 出生図からの太陽の進行を全ての天体に適応して考慮 30日後の太陽の進行分を全ての天体にも適応する |
■ミッドポイント ハーフサム
ミッドポイント(ハーフサム)は、2つの天体同士の中間点のポイントになります。 このポイントには二つの天体を合わせた意味合いを持つ点になります。 一般には2天体の中間点がミッドポイントになりますが、その点から左右45度、左右90度、それぞれの180度反対側の計8ポイントあると考えられています。 特に出生図で、天体同士が重要なアスペクトを組む天体同士のミッドポイントはまた重要になり、影響を受けやすい点として考えます。
この点にトランジットや、プログレス、ソーラーアーク・ディレクションなどの天体が通過する際には、強い影響を受けるとされます。 特に強い影響があるのが、出生図にある組合せの天体同士のミッドポイントであり、0度のミッドポイントの部分になります。 出生図や経過図、進行図などでは見えないポイントでもあり、このミッドポイントを読むようになると、色々な発見があり、西洋占星術の奥深い部分に触れることができます。
少々計算や算出なども大変になるため、西洋占星術のソフトなどがないとミッドポイントの算出は非常に大変になります。 ミッドポイントの考え方だけではなく、天体同士の意味合いや影響などの勉強にもなるため、普段からの天体の意味やアスペクトの意味するところなどがより深く読めるようにもなります。
ミッドポイント
ハーフサム
■マンデン占星術
マンデン占星術とは、個人の出生図から運勢を占うのではなく、その対象を国家や社会の動向を占うという視点での占星術になります。 古代では、国家の盛衰や天変地異などを占うために占星術が活用されていました。 それと同じように、国家の盛衰や社会情勢、天変地異などを占うのがマンデン占星術になります。
国家が樹立された生年月日時から、その国家の出生図を作成し、国家の持つ潜在力を占うことができます。 また、春分図から一年の社会情勢を占うこともでき、国家の出生図と合わせて、その国家の一年の運勢を占うこともできます。 夏至図や冬至図から、夏や冬の気候状態を占うこともできます。 新月図や満月図から、その時の社会情勢などを占うこともできます。 新月図や満月図では、特に蝕が重要になり、問題や天変地異の予兆と昔から考えられてきました。
マンデン占星術で、国家の盛衰や社会情勢、天変地異などを予想し、その動向に合わせて対応するというような使い方をします。 現代でも色々な手法を用いて、マンデン占星術は研究されており、未来予測などの勉強には非常に有効な考え方になります。
マンデン占星術
国家の盛衰
■ホラリー占星術
ホラリー占星術とは、これまでの出生図や経過図、進行図などの考え方とは変わり、その場の天体の配置図から、質問に対しての答えを導く手法になります。 これまでの西洋占星術は、命術的な活用法になりましたが、このホラリー占星術は、どちらかというと卜術的な活用法になります。 持って生まれた性質や才能などを占うのではなく、失くし物や質問の良し悪しを導く手法になります。 独自のルールなども色々とありますが、ホラリー占星術を読むことで、西洋占星術の基本的な解釈のレベルが大きく上がります。
ホラリー占星術で大事になるのは、質問時のハウスの状況と月の状況になります。 土星や月の状態で、ホラリー占星術が無効になるという場合もあり、サインやハウスの考え方が、非常に重要になります。 天体とサイン、ハウスのつながりやアスペクトの形成など、ポイントとなる部分を的確に判断し、結果を導くことが大事になります。 このような一連の流れが、西洋占星術の理解や解読力の上昇につながるため、色々なケースの質問を解読すると、西洋占星術で深いところまで考察できるようになります。
ホラリー占星術
占星術の解釈
■アストロダイス
アストロダイスとは、西洋占星術での「10天体」「12サイン」「12ハウス」からなる3つのサイコロを用いて、質問に対しての答えを導く手法になります。 10天体では、「太陽 月 水星 金星 火星 木星 土星 天王星 海王星 冥王星」からなる10面体のサイコロを使用します。 12サインでは、「牡羊 牡牛 双子 蟹 獅子 乙女 天秤 蠍 射手 山羊 水瓶 魚」からなる12面体のサイコロを使用します。 12ハウスでは、「1ハウス 2ハウス 3ハウス 4ハウス 5ハウス 6ハウス 7ハウス 8ハウス 9ハウス 10ハウス 11ハウス 12ハウス」からなる12面体のサイコロを使用します。
これらの3つのサイコロを同時に投げ、出た天体とサイン、ハウスによって、質問への答えを導くという手順になります。 天体とサイン、ハウスの組合せは1440組となり、非常に詳細な内容を導き出すことができます。 西洋占星術の要素を使うのがアストロダイスになりますが、その性質は命術ではなく卜術として使用することになります。
卜術としてアストロダイスを用いた占術もできますが、西洋占星術の勉強の一環として、天体とサイン、ハウスの組合せを読み解く練習にもなります。 ホラリー占星術と併せて、卜術としての西洋占星術の活用になるため、視野は広がり西洋占星術の解釈がより深くなります。
アストロダイス
西洋占星術
■西洋占星術の得意分野と位置付け
西洋占星術の得意分野は、対象となる人の性格や運勢を読み解くことになります。 生まれ持った性格や潜在能力などを押し推し量ることを占うのに向いている占術になります。 また、天体の運行との兼ね合いから、未来に起こることなどを予想することもできます。 運勢の良し悪しの波を推し量ることができる占術であると共に、ホラリー占星術などを活用することで、卜術的な活用法もあります。 西洋占星術は、対象となる人の性格を読み解くことと合わせ、対象となる人同士の相性や縁などを占うこともできます。 恋愛傾向や結婚相手のこと、適職や金銭運など、幅広い視点で運勢を占うことができるのが西洋占星術の特徴です。
西洋占星術は「命術・卜術・相術」で言うところの「命術」にあたります。 そのため、人の気持ちや具体的な未来に何が起こるのかを掘り下げるにはあまり適しません。 西洋占星術は、持って生まれた潜在能力や将来に起こるである可能性を掘り下げることが得意であり、人生全体の運勢の流れを読むことに適しています。
命術 | 生年月日時から算出 | ←西洋占星術 |
卜術 | その場の機運から算出 | |
相術 | 見た目や様相から算出 |