■易 断易 周易 易経 梅花心易とは
周易とは、古代中国の伝説上の帝王「伏羲」によって八卦が考案され、周の「文王」が卦の説明を、その子「周公」が爻の説明をまとめたものとされています。 周易は、儒家の経典として体系化され、哲学書としての「易経」が確立されていくことになります。 現代では、上記の説は伝説的なものとされ、周易とは卜辞の集大成であり、卦名や卦辞、爻辞などの出処は別な所であるという考え方も在ります。
易とは、この「周易」から体系化された哲学書としての「易経」、易卦を構成する六爻に十二支を割り振り、その陰陽五行の関係から占う「断易」(五行易)、 占う年月日時やその場の風景、状況から易卦を立てる「梅花心易」を総称するものになります。 一言に「易」と言えども、様々な立卦法があり、様々な解釈法があるのが易の世界でもあります。
易とは
梅花心易
易の世界にも様々な占断法がありますが、その基本的背景にあるのが、「陰陽思想」になります。 後の「五行思想」と合わさり、「陰陽五行思想」となり、断易や梅花心易のような易占が誕生していきます。
■陰陽思想
陰陽五行思想とは、陰陽思想と五行思想とが結びつき生まれた思想になります。 陰陽思想とは、森羅万象、全ての物事は陰陽から成り立つという思想であり、宇宙は全て陰陽とからなるとされます。 宇宙とは、空間や時間に秩序を持つ世界体系を意味し、あらゆる物事を含む存在とされます。 また、「宇」は「天」を表し、「宙」は「地」を表し、「宇宙」で「天地」のことを表すのが陰陽思想における「宇宙」になります。 天文学的な「宇宙」とは少々考え方が変わります。
陰陽思想における「陰陽」は、互いに影響し合う属性を持つ二つの存在であり、両者が存在して成り立つとされる考え方になります。 陰陽思想では、片方の存在だけでは成り立たないというのが基本であり、二者の相互関係が必ず生まれ持つことになります。 宇宙(天地)は混沌の状態から始まり、この中から「陽」の明るい気が上昇し「天」になり、「陰」の暗い気が下降し「地」になったとされます。 この天と地の影響により、万物が陰陽の関係を持ち生まれたとされる考え方になります。
後天八卦
天地
陽とは「光 明 剛 男 表 昼 山 前」などであり、陰とは「闇 暗 柔 女 裏 夜 谷 後」などになります。 片方が存在すれば、必ずもう片方が存在し、片方が存在しなければ、もう片方も存在することは無いという考え方です。 陽と陰の気が調和することにより、宇宙(天地 自然 時間と空間)の秩序が保たれるとされます。
良く間違われる陰陽思想に「善と悪」という考え方があります。 陰陽思想では、「善」は陽ではなく、「悪」は陰ではないという考え方があります。 陰陽思想では、陰陽の存在は両社が存在し、調和することで秩序が保たれるとされます。 そのため、善は善だけで存在することができ、悪は悪だけで存在し得るものであるため、陰陽思想とは異なります。 良い人は悪い人が居なくても良い人であり、悪い人は良い人が居なくても悪い人で成り立つため、陰陽思想では、「善(正義)と悪」は考え方に適応されません。
山谷
陰陽
この陰陽思想が、易の基本的背景になり、この思想を元に易卦が成り立ち、卦辞や爻辞が生まれていくことになります。 陰陽思想を知ることが易占を扱ううえでの必要不可欠な知識であり、考え方になります。
陰陽 | 事象 |
陽 | 光 明 剛 天 晴 男 夫 父 表 昼 日 山 前 大 重 乾 熱 生 積極 奇数 |
陰 | 闇 暗 柔 地 雨 女 妻 母 裏 夜 月 谷 後 小 軽 湿 冷 死 受動 偶数 |
太極図 陰陽を現す
■五行思想
五行思想とは、中国の自然哲学の思想であり、宇宙(天地)の全てのものは五つの要素(五行)からなるとされる考え方になります。 五行とは「木行」「火行」「土行」「金行」「水行」であり、互いに影響を与え合い、その盛衰により天地が構成されているとされます。 上記の陰陽思想とこの五行思想が結びつき、陰陽五行思想が生まれます。 中国発祥の占術は、この陰陽思想と五行思想が非常に重要な思想的背景になり、この思想を把握しておかないと占術の理解を深めることができなくなります。 周易や易経は陰陽思想が背景にありますが、断易や梅花心易は、陰陽思想だけではなく五行思想も併せて考えることが大事になります。
五行思想は、五行がそれぞれ作用し合い、事象を及ぼすという考え方になり、それぞれの組合せや作用の仕方で起こる事柄が変わります。 「木行と火行」では、木が燃えて火が強くなるというような、他者を生み出す作用をもたらす関係であり、「相生」の関係とされます。 「土行と水行」では、土が水の流れを止めるというような、他者を遮る作用をもたらす関係になり、「相剋」の関係とされます。 「金行と金行」では、鉄が鉄を鍛えるというような、他者と共存する作用をもたらす関係になり、「比和」の関係とされます。
五行思想
五行の分類
一般にはこの「相生」「相剋」「比和」の関係で五行は成り立ち、良し悪しの関係が形成されていくことになります。 しかし、相生の関係でも、度が過ぎれば悪化する関係になり、相剋の関係でも考え方を変えれば良い方に転じる関係となります。 比和の関係も、関係性次第で良い方にも悪い方にも出てきます。 関係性はあくまで関係性であり、結果の良し悪しではなく、気の流れに見合うものかどうかという視点が重要になります。
五行 | 事象 |
木行 | 樹木の成長や発育の様相。若木が芽生える春の象徴。 |
火行 | 燃え盛る炎の様相。太陽が強く熱くなる夏の象徴。 |
土行 | 万物を育成する大地の様相。季節の変わり目となる時期の象徴。 |
金行 | 土中から採掘される鉱物の様相。刃物で作物を収穫する秋の象徴。 |
水行 | 泉から湧き出る水の様相。寒さと雪や氷の多くなる冬の象徴。 |
五行の相生
五行の相剋
■河図と洛書
河図とは、中国の伝説上の帝「伏羲(ふっき ふくぎ)」が河(黄河)の中から現れた龍馬の背にあった模様から考案したとされています。 河図は後に十数図とも呼ばれ、「天地の理」を表す図とされ、八卦生成の元になったと伝われいます。 伏羲は、河図や八卦の考案以外にも、釣りや狩り、製鉄や料理法、婚姻制度を定めたとされています。 易経の繋辞上伝では、「一 三 五 七 九」の奇数を天(陽)の数、「二 四 六 八 十」を地(陰)の数としています。
洛書とは、中国の伝説上の帝「禹(う)」が、洛水から現れた亀の背にあった模様から考案したとされています。 洛書には九数図が割り当てられ、縦横斜めの総和が十五になる魔法陣が構成されます。
河図
十数図
二 七 火 南 | ||
三 八 木 東 | 五 十 土 中 | 四 九 金 西 |
一 六 水 北 |
洛書
九数図
四 木 南東 | 九 火 南 | 二 土 南西 |
三 木 東 | 五 土 中 | 七 金 西 |
八 土 北東 | 一 水 北 | 六 金 北西 |
■先天八卦と後天八卦
中国の伝説では、「易」は伏羲が八卦(先天八卦)を作り、文王が卦辞を作ったとされます。 伏羲により、河図と陰陽思想の万物の生成過程「太極-両儀-四象-八卦」に基づき、先天八卦「乾 兌 離 震 巽 坎 艮 坤」が考案したとされ、 後の文王により、卦の象徴の意味とその生まれの順「父母-長男長女-中男中女-少男少女」に基づき、後天八卦「乾 坤 震 巽 坎 離 艮 兌」が考案されたとしています。 この伏羲が考案したとされる先天八卦と、文王が考案したとされる後天八卦、そして洛書が合わさることで、先天図と後天図が生まれます。
先天八卦
少女 兌沢 |
父 乾天 |
長女 巽風 |
中女 離火 |
中男 坎水 |
|
長男 震雷 |
母 坤地 |
小男 艮山 |
後天八卦
長女 巽風 |
中女 離火 |
母 坤地 |
長男 震雷 |
少女 兌沢 |
|
小男 艮山 |
中男 坎水 |
父 乾天 |
洛書九数図
四 木 南東 | 九 火 南 | 二 土 南西 |
三 木 東 | 五 土 中 | 七 金 西 |
八 土 北東 | 一 水 北 | 六 金 北西 |
先天後天 | 起源 | 八卦 |
先天八卦 | 太極-両儀-四象-八卦 | 乾 兌 離 震 巽 坎 艮 坤 |
後天八卦 | 父母-長男長女-中男中女-少男少女 | 乾 坤 震 巽 坎 離 艮 兌 |
八卦 | 先天八卦 | 後天八卦 |
乾 | 乾為父得九 | 乾為父得六 |
兌 | 兌少女得四 | 兌少女得七 |
離 | 離中女得三 | 離中女得九 |
震 | 震長男得八 | 震長男得三 |
巽 | 巽長女得二 | 巽長女得四 |
坎 | 坎中男得七 | 坎中男得一 |
艮 | 艮少男得六 | 艮少男得八 |
坤 | 坤為母得一 | 坤為母得二 |
■八卦(小成卦)の象意
易における八卦(小成卦)とは、「乾 兌 離 震 巽 坎 艮 坤」の八つの基本要素になります。 それぞれが、「陽(─)か陰(--)」の爻が三つ重なった形で現されます。 下から、下爻、中爻、上爻の順で現されます。 八卦(小成卦)は、中国の伝説上の帝である伏羲が考案したものとされ、それぞれの卦は独自の意味を持つ要素になります。 固有の独立した単体一つの意味ではなく、八卦を構成する要素としての意味になり、八卦全体で考慮することにより、成り立つ意味合いというものになるのが特徴です。 陽と陰が互いに影響し合い、片方が存在することでもう片方が存在するという対になる組合せであり、考え方になるのと同じになります。 陽と陰から生まれたのが、この八卦であり、この八卦はそれぞれが関係し合い、影響し合いすべてが存在することで陰陽の調和が保たれると考えられています。 そのため、それぞれの卦の意味合いは他の卦と関連するため、陰陽思想の観点から、八卦全体を考慮していくことが大事になります。
太極 | ||||||||
両儀 | 陽 | 陰 | ||||||
四象 | 太陽 | 少陰 | 少陽 | 太陰 | ||||
八卦 | 乾 | 兌 | 離 | 震 | 巽 | 坎 | 艮 | 坤 |
陰陽 | 爻 | 上中下 |
陽 | ─ | 上爻 |
陰 | -- | 中爻 |
陽 | ─ | 下爻 |
八卦 | 漢字 | 読み | 下-中-上 |
乾 | けん | 陽-陽-陽 | |
兌 | だ | 陽-陽-陰 | |
離 | り | 陽-陰-陽 | |
震 | しん | 陽-陰-陰 | |
巽 | そん | 陰-陽-陽 | |
坎 | かん | 陰-陽-陰 | |
艮 | ごん | 陰-陰-陽 | |
坤 | こん | 陰-陰-陰 |
八卦 | 象意 |
天 父親 健 首 馬 金 | |
沢 少女 悦 口 羊 金 | |
火 中女 麗 目 雉 火 | |
雷 長男 動 足 龍 木 | |
風 長女 入 股 鶏 木 | |
水 中男 陥 耳 豚 水 | |
山 少男 止 手 犬 土 | |
地 母親 順 腹 牛 土 |
■六十四卦(大成卦)の象意
中国の伝説上の帝である伏羲が考案した八卦(小成卦)を二つ重なることで、六十四卦(大成卦)が生まれます。 八卦が二つ重なるため、六十四卦は陰陽の六爻から構成され、下から「初爻 二爻 三爻 四爻 五爻 上爻」の順になります。 この六十四卦(大成卦)に対し、古代中国「周の文王」が卦辞(六十四卦の意味)を著し、その文王の子「周公」が爻辞(三百八十四爻の意味)を著したとされます。 三百八十四爻とは、六十四卦の各六爻で乗すると三百八十四爻になるというものです。
六十四卦
この六十四卦(大成卦)の卦辞と三百八十四爻の爻辞は、周の時代に体系化され「周易」と呼ばれるようになります。 その後、孔子が「十翼」と言われる「彖伝・繋辞伝・象伝・説卦伝・文言伝」を著しより「易」というものが体系化されることになります。 孔子の死後、この周易は儒教の基本的経典として哲学書としての「易経」が確立されていくことになります。 易経ではこの六十四卦は、「周易上経三十卦」「周易下経三十四卦」に分かれます。
※現代では、「十翼」は孔子以後の時代に著されたものとして考える説が有力であり、孔子が著したとされるのは伝説的なものになっています。
01.乾 |
02.坤 |
03.屯 |
04.蒙 |
05.需 |
06.訟 |
07.師 |
08.比 |
09.小畜 |
10.履 |
11.泰 |
12.否 |
13.同人 |
14.大有 |
15.謙 |
16.豫 |
17.随 |
18.蠱 |
19.臨 |
20.観 |
21.噬嗑 |
22.賁 |
23.剥 |
24.復 |
25.无妄 |
26.大畜 |
27.頤 |
28.大過 |
29.坎 |
30.離 |
31.咸 |
32.恒 |
33.遯 |
34.大壮 |
35.晋 |
36.明夷 |
37.家人 |
38.睽 |
39.蹇 |
40.解 |
41.損 |
42.益 |
43.夬 |
44.姤 |
45.萃 |
46.升 |
47.困 |
48.井 |
49.革 |
50.鼎 |
51.震 |
52.艮 |
53.漸 |
54.帰妹 |
55.豊 |
56.旅 |
57.巽 |
58.兌 |
59.渙 |
60.節 |
61.中孚 |
62.小過 |
63.既済 |
64.未済 |
■周易とは
周易とは、伝説的な側面では、文王が著したとされる卦辞、周公が著したとされる爻辞をなどを元に断占を行う占術になります。 現代では、古代中国の時代から蓄積された卜辞(占い結果)をまとめ上げたものが爻辞であり、その爻辞をまとめ上げて卦名、卦辞が作成されたとされます。 古代からの占い結果の集大成として考えられているのが周易であり、詳細な占筮の書物として確立されています。
周易とは、このような卜辞(占い結果)の集大成である書という位置づけであると共に、現代ではこの周易の内容を元に占う術を含めて周易と呼びます。 周易と言っても、考え方の側面から、この卜辞(占い結果)の集大成である書持つと示すこともあれば、これを用いた占術を示すこともあります。 その性質から、「易経」や「断易」、「梅花心易」の元になった「易」の概念や六十四卦、三百八十四爻の解説書として考えます。 周易は、古代中国からの卜辞の集大成ではありますが、陰陽思想などの背景もあり、全ての物事の生成過程や自然界の理などを体系化している奥深い書になります。
先天八卦
周易
■易経とは
易経とは、周易と同じように扱われることもあります。 周易とは、上記のように、古代中国から行われていた卜占の結果、卜辞の集大成というものになります。 古代中国では、亀の甲羅や、動物の骨を焼き、その割れ方から占いの結果を読んでいたとされます。 その結果の集大成が周易となり、その周易を経典として取り入れたのが儒学であり、儒学の経典、哲学書となったのが易経とされます。
周易と易経の考え方は様々であり、混同視されることもあります。 ここでは、分かりやすいように、周時代に体系化された卜辞の集大成が「周易」であり、周易を元に儒学の経典、哲学書になったのが「易経」と考えます。 儒教では、「四書五経」を重要視し、その五経の一つになるのがこの「易経」になります。 元は卜辞の集大成であった周易を、より体系化し、森羅万象の生成や自然界の成り立ち、国の統治法などを説く書として確立されていきます。
易経の元となった周易では、卦名、卦辞、爻辞があり、これに十翼(彖伝 繋辞伝 象伝 説卦伝 文言伝)が加わり、易経が成立していきます。 易経は周易をより体系化し、色々な解説や考え方、哲学や思想などを含むものになり、より詳細な解説書として確立されます。 この易経を元に断占を行うことを「周易」と呼ぶことなどもあります。 「周易」と「易経」は、その過程や使われ方、考え方などにより呼び方や内容、使われ方が変わります。 学者や解説書、立場の違いなどでも混同されることがあるため、一概に違いなどを説明することも難しいのが「周易」と「易経」にもなります。
易経
孔子
■断易(五行易)とは
断易とは、周易を元にした占術であり、卦の立て方や六十四卦の構成などは同じものになります。 その違いは解釈の仕方や結果の読み方であり、より六十四卦を占いとして詳細に掘り下げていくというものが断易になります。 周易や易経では、様々な概念や思想を説く背景もありますが、断易では質問に対しての答えをはっきり出すという事になります。 陰陽思想が元になっていた周易や易経に、五行思想を取り入れて占い結果を明確に出すというのが断易の特徴でもあります。
詳細な特徴としては、易卦を構成する六つの爻に十二支を割り振り、この陰陽五行の関係(相生・相剋)などにより結果を出すことにあります。 その性質のため「五行易」を呼ばれることもあり、占い結果の吉凶を明確に出すため、易占をする際には非常に有効な占術になります。 断易(五行易)は、中国の春秋戦国時代に鬼谷子(きこくし)によって考案されたものとされています。
この断易を行う場合には、周易や易経の概念や背景を理解しつつ、陰陽五行思想を考慮して断占をする事が大事になります。 用心の算出や月と日との十二支、五行の関係性、詳細な十二運や神殺、合や沖などを考慮して詳細な結果を出すのも特徴になります。 非常に複雑な工程を踏むこともありますが、場合によっては結果の良し悪しを判断するだけに簡略されることもあります。
断易は、古代中国の春秋戦国時代の斉の「鬼谷子(きこくし)」が考案(紀元前300-250年頃)したとされる易占の占術になります。 斉の稷下の学士「鄒衍(すうえん)」(紀元前300-250年頃)が、五行思想を創案した時期と同時期、同地域でありその関連性は深いものと推測されます。
五行の相生
五行の相剋
■梅花心易とは
梅花心易とは、易経や周易の八卦や六十四卦の背景を基本として占う占術になります。 易経や周易での卦名、卦辞、爻辞、十翼などの背景は考慮し、占う事柄の吉凶や未来予測などをします。 特に特徴になるのが、周易や断易とは違い、道具を用いる事無く卦を立てることが特徴になります。 占う際の年月日時を用いることや、目に見える風景や環境から卦を立て、断占するのが特徴になり、卦の立て方や解釈の仕方には経験と知識が必要になります。
梅花心易では、周易の背景と卦の五行の関係性などを掘り下げて解釈し、答えを算出していくため、周易と断易の要素を兼ね備えます。 特に年月日時や風景、環境から未来予測をしていく行程は、梅花心易の神髄でもあり、熟達すると未来が手に取るように見えてくるとされます。 卦を立てる際に何をどのように用いるのかは、占い師の考え方や経験などにより様々であり、どのような手法を用いてどのような未来を見るのかは異なります。 手法が簡単なようで、逆に非常に難しい占術でもあり、易経や周易、断易などにある程度精通した人が、手掛ける占術でもあります。
梅花心易は、上記のような複雑で難しいというような側面もありますが、占う時に卦を立て、未来予測をしていくという楽しめる要素もあります。 色々な視点から卦を立てることや、立てられた卦を読み解くこと、未来を予測することなどは、直観力や応用力を養うには適切であります。 また、このような側面から、周易や断易、易経への理解や共感を得るには非常に優れている占術でもあります。
梅花心易は、中国・北宋時代の儒学者「邵康節(しょうこうせつ)」(1011~1077)が考案したとされる易占の占術になります。
梅花心易
梅花心易
■易とは
易と言う漢字は、「日(頭)」と「勿(足)」から成り立ち、元は蜥蜴(十二時虫)を表す象形文字とされています。 太陽光線により、一日に何度も体の色が変化する蜥蜴の類の象形文字が起源となります。 これより、「易」とは「絶えず変化」するという意味があります。 易経は英語では「The Book of Change(変化の書物)」と表記されます。
変化という概念は、不変という概念があり始めて成り立ちます。 全ての物事には、「変化」と「不変」が存在するというのが易の基本的な考え方になります。 「人」は、その「人」であることは変わらないものになりますが、人としての成長という変化を遂げます。 「薔薇」は、薔薇であることは変わらないものになりますが、成長という変化を遂げます。
不変とは、「変化しないもの」「動かないもの」であり、宿命と考えます。 変化とは、「変化するもの」「動くもの」であり、運命と考えます。 「不変の事象の研究」と「変化の事象の研究」をする事が「立命」となります。 立命とは、本来の自分を知ること、取り戻すことという考え方になります。 そのため、人間について立命する学問が「運命学」であり、物について立命する学問が「科学」となります。
変化と不変
変化と不変
周易とは、陰陽思想を基本とし、非常に多くの卜辞から変化と不変について研究し、体系化されたものになります。 易経とは、周易を基本とし、儒教の経典として体系化されたものになります。 断易とは、周易や易経を元に陰陽五行思想を取り入れ、断占に向けて体系化されたものになります。 梅花心易とは、周易や易経、断易の概念から、全ての物事には機があり事が起こるという考えを体系化したものになります。 そして易とは、変化と不変を表す基本的概念と共に、広義に「周易」「易経」「断易」「梅花心易」すべてを指すものとなります。
易とは | 内容 |
易 | 変化と不変を表す概念 下記の全てを含む |
周易 | 卜辞の集大成 卦名 卦辞 爻辞から成る |
易経 | 周易を儒教の経典として体系化 周易に十翼を加える |
断易 | 周易と五行思想を体系化 断占に特化し体系化される |
梅花心易 | 上記の概念を元に体系化 機を得て未来を知る |
■易の立卦法
易を用いて占いをする際に、卦を算出することを「立卦」と呼び、現代では立卦法は様々なものがあります。 古典的な立卦法では、筮竹(ぜいちく)を用いる正式な本筮法があり、簡易化されたた中筮法、略筮法などがあります。 現代では硬貨を用いる擲銭法や、更に簡略した賽(さいころ)用いる立卦法などがあります。
古代中国の狩猟民族時代では、卜占をする際に亀の甲羅や動物の骨を用いて占いを行っていました。 農耕民族になり、きく科の多年草である「蓍(めどぎ)」の茎を用いて占いを行っていました。 文明が発達することにより、硬貨や賽を用いて占いが行われるようになります。 また、一部の易占では、年月日時から卦を得る方法や、その場の状況や景色から卦を得る方法があります。 大事なのは、立卦をして卦を得る事であり、その手法はどのようであれ、適切な卦が得られるかどうかになります。
卜占と亀の甲羅
卜占と擲銭法
古典的な易占では、筮竹(ぜいちく)と算木(さんぎ)を用いて卜占を行います。 現代でも古くからの習慣を受け継ぎ、易占を主要な占術として用いる占い師(易者)は、この筮竹と算木を用いています。 易占の世界を体験するには、このような古典的な立卦法を用いる易者に占ってもらうと臨場感が得られます。
立卦法 | 内容 |
筮竹 | 蓍の茎を用いて立卦 本筮法 中筮法 略筮法 |
硬貨 | 硬貨を用いて立卦 表裏から卦を得る 擲銭法 |
賽 | 賽を用いて立卦 賽の目から卦を得る |
年月日時 | 年月日時を数字に換算し計算して卦を得る |
風景 | 目の前に広がる光景を卦に置き換えて得る |
■易の占い方と活用法
易占の使い方の基本は、目に見えないもの、今後起こるであろう出来事、これからの心構えなどの手掛かりを得る事に用いることになります。 特に自分自身の心構えや行動方針、決断をする際の参考として用いるのが適切な易占になります。 基本となる周易や易経の考え方は、人が生きていく上での考え方であり、全ての出来事の捉え方になります。 今の状況がどのような状況であるのかを確認し、そのために何をすればよいのか、どのように考え対応すれば良いのかというのが基本的な活用法になります。 大事な局面に際して、どのように考えて行動し、発言して決断するのかというような考え方で活用するのが適切な周易と易経の活用法になります。
断易では、知りたい事象、占いたいことの吉凶をはっきりさせたい時に用いるのが適切であり、良し悪しを得るために用いるのが適切になります。 事前に結果を知ることにより、対応などを講じるという事もできますし、結果が悪い場合には潔く諦めるというのも大事になります。 吉凶を得るまでの行程は複雑な部分もあるため、活用する際には占的をしっかりと絞り込み、集中して卜占を行う必要があります。 現代では化学も進歩し、結果を瞬時に得ることもできますが、結果が当たるようになるには、占的を明確にすることや、断易の占い方になれることが大事になります。
梅花心易では、その時の占機から、未来に起こるであろう事象を予測していくことに用います。 どのような状況が今後展開されていくのかを見極め、そこに備えていくことや、その心構えを得るという事に活用します。 占的の結果の良し悪しなども出てくるため、未来を予測し対策を講じるという手法で用いることになります。 梅花心易は、立卦法や未来予測など、難しい側面が多くなりますが、易占の研究をする際には非常に有効的な手法でもあります。
易の占い方
易の活用法
周易や易経は、自分自身の事、心構えや行動方針などを得るために用いるのが適切であり、断易では物事の吉凶を明確にするために用いるのが適切になります。 梅花心易は未来の予測やそれに対しての対応策などを講じるというのが適切な活用法になります。
易占 | 活用法 |
周易 易経 | 自分自身の考え方や行動方針などを得る |
断易 | 占的の吉凶を明確にして決断の方向性を得る |
梅花心易 | 未来の状況予測から対策や心構えを得る |
■易 断易 周易 易経 梅花心易の得意分野と位置付け
易の得意分野は、目に見えないものを占うことや、行動の指針となるものを明確にすることになります。 大事な物事に対しての行動方針を決めること、普段からの姿勢や心構えを掘り下げる事でもあります。 易は、人の気持ちや未来の状況がどのようになるのかを占うこともできますが、望む状況を得るための方針を見るという方が得意の占術になります。 特に会社の経営方針や家庭の方向性、人間関係での対応の仕方や人生の生き方など、哲学の要素が強い占術でもあります。
易は「命術・卜術・相術」で言うところの「卜術」にあたります。 そのため、生まれ持った本質や宿命的なもの、人との相性や仕事などへの適性、潜在的に秘めた能力などを掘り下げるにはあまり適しません。 占うことはできても、その場の気を読み解く占術になるため、占いを繰り返すようなことがあると、意味をなさなくなることもあります。 また、易経の思想は人の生き方や行動方針を導く哲学でもあります。
命術 | 生年月日時から算出 | |
卜術 | その場の機運から算出 | ←易 |
相術 | 見た目や様相から算出 |