■四柱推命とは
四柱推命とは、干支を用いた暦から年月日時の四柱を算出し、その組み合わせにて能力や運勢を読み解く術になります。 古代中国で生まれた陰陽五行思想を元に、干支を用いた暦が生まれ、人の出生時の年月日時の干支から性格や運勢を読み解きます。
四柱推命
農耕暦
四柱推命という呼び方は、日本独特の呼称であり、中国では「子平」「三命」「命学」「命理」「八字」などと呼ばれています。 基本は人の運勢や潜在能力などを推察する手法であり、その人の運勢の波や五行バランスなどを考察することから始まります。
中国の占術は、古代に生まれた陰陽五行思想が元になるものが多く、その考え方の基本概念は同じものになります。 それをどの方面で活用していくかで、様々な占術に分かれていきます。 四柱推命の基本は、この陰陽五行思想から生まれた暦を元にして占いをしていく占術になります。
国 | 呼称 |
日本 | 四柱推命 |
中国 | 子平 三命 命学 命理 八字 |
■陰陽思想と五行思想
陰陽五行思想は、古代中国で考えられていた陰陽思想と、五行思想が結びついて生まれたものです。 伝説上では、紀元前3000年頃の伏羲の時代に陰陽思想は誕生されたとされ、紀元前2000年頃の禹の時代に五行思想が誕生されたとされます。 陰陽思想の起源は中国の春秋戦国時代(紀元前770年ごろ)とされる説や、五行思想の起源は戦国時代(紀元前300~250年ごろ)とされる説などもあります。 詳細は専門家の手に委ねるとして、ここではその他の占術の起源や干支暦の成り立ち、それらの関係性から伏羲と禹の時代説で解説していきます。
陰陽思想とは、宇宙や森羅万象のあらゆる物事は全て「陰」と「陽」とで形成されているという考え方になります。 陰陽思想は中国神話に登場する帝王「伏羲」が作り出したものとされ、物事には常に2つの側面があり、対をなしているという考え方になります。 「影と光」「後と前」「下と上」「受動と積極」というような、片方を定義した時に、無条件で反対側を認めているという相対概念になります。 どちらか一方では成り立たず、二つのものが対となって存在するという考え方になります。 そのため、「悪」と「善」は陰陽思想には当てはまらず、善悪二元論とは異なるものであることが注意点になります。 「悪」と「善」はそれぞれが独立して成り立つものであり、陰陽思想における「陰と陽」には当てはまらないということは忘れないようにしてください。
陰陽思想
五行思想
五行思想とは、古代中国で生まれた自然哲学の思想になります。 五行思想は、夏王朝の始祖となる「禹」が考案したものとされています。 万物は五行から成り立つとされる思想であり、五行とは「木行・火行・土行・金行・水行」の5種類の要素から成り立つという考え方になります。 この5種類の要素が、様々な関係性を持ち、それぞれが影響し合い、世の中が形成され、成り立っているという考え方になります。
この二つの陰陽思想と五行思想が組み合わさることで、陰陽五行思想が生まれ、そこからさまざまな考え方が広がります。 中国の占術の基本は、この陰陽五行思想がものになるものが多いため、陰陽五行思想についてはある程度の理解が必要になっていきます。
思想 | 考案者 | 起源 | 内容 |
陰陽思想 | 伏羲 | 紀元前3000年頃 | 万物は「陰」と「陽」から成り立つ |
五行思想 | 禹 | 紀元前2000年頃 | 万物は「五行(木火土金水)」から成り立つ |
五行 | 事象 |
木行 | 樹木の成長や発育の様相。若木が芽生える春の象徴。 |
火行 | 燃え盛る炎の様相。太陽が強く熱くなる夏の象徴。 |
土行 | 万物を育成する大地の様相。季節の変わり目となる時期の象徴。 |
金行 | 土中から採掘される鉱物の様相。刃物で作物を収穫する秋の象徴。 |
水行 | 泉から湧き出る水の様相。寒さと雪や氷の多くなる冬の象徴。 |
五行 | 木行 | 火行 | 土行 | 金行 | 水行 |
五色 | 青 | 赤 | 黄 | 白 | 黒 |
五方 | 東 | 南 | 中央 | 西 | 北 |
五時 | 春 | 夏 | 土用 | 秋 | 冬 |
五徳 | 仁 | 礼 | 信 | 義 | 智 |
五経 | 楽 | 書 | 詩 | 礼 | 易 |
■陰陽五行思想 十干十二支
中国神話に登場する帝王「伏羲」の考案した陰陽思想と、夏王朝の始祖となる「禹」が考案した五行思想が統合され、陰陽五行思想が誕生します。 古代中国において、日の計算法として使用されていた十干「甲乙丙丁戊己康辛壬癸」に対しても陰陽五行思想が適応されます。 そのため、十干は「1~10の数の計算」という背景を持つことにもなります。 五行思想では、「甲乙」が木行であり、「丙丁」が火行であり、「戊己」が土行であり、「庚辛」が金行であり、「壬癸」が水行であるという考えですが、そこに陰陽思想が加わります。
陰陽五行思想における十干とは「甲 きのえ」「乙 きのと」「丙 ひのえ」「丁 ひのと」「戊 つちのえ」「己 つちのと」「庚 かのえ」「辛 かのと」「壬 みずのえ」「癸 みずのと」になります。 木行の陽が「甲」であり、木行の陰が「乙」であるという考え方になります。
五行
歲星(木星)
古代中国の天文学において、使用されていた天球分割法の一つでもある、十二辰(じゅうにしん)には、現在の十二支が割り当てられていました。 十二支とは「子」「丑」「寅」「卯」「辰」「巳」「午」「未」「申」「酉」「戌」「亥」であり、元は天体の運行を示す座標系として使われていました。 そのため、十二支は「座標や方位の計算」という背景を持つことにもなります。 特に木星の位置(公転周期約12年)との関連性が強いとされています。 この十二支にも陰陽五行思想では、五行と陰陽の考え方が適応されていくことになります。
水行の十二支は「子亥」であり、木行の十二支は「寅卯」であり、火行の十二支は「丙丁」であり、金行の十二支は「庚辛」であり、木行の十二支は「丑辰未戌」になります。 水行の陽が「子」であり、水行の陰が「亥」になるという考え方になります。 土行の陽は「辰戌」であり、土行の陰は「丑未」になります。
この十干十二支が合わさり、六十干支が生まれます。 六十干支自体の考え方は、陰陽五行思想の誕生よりも以前のものになり、天体の運行と共に暦として活用されていました。 この考え方に陰陽五行思想が適応されていくことで、四柱推命の母体となる暦と陰陽五行の考え方が生まれていきます。
五行 | 陰陽 | 十干 | 十二支 |
木行 | 陽 | 甲 | 寅 |
木行 | 陰 | 乙 | 卯 |
火行 | 陽 | 丙 | 午 |
火行 | 陰 | 丁 | 巳 |
土行 | 陽 | 戊 | 辰戌 |
土行 | 陰 | 己 | 丑未 |
金行 | 陽 | 庚 | 申 |
金行 | 陰 | 辛 | 酉 |
水行 | 陽 | 壬 | 子 |
水行 | 陰 | 癸 | 亥 |
十干 | 読み | 五行 | 陰陽 | 方位 |
甲 | コウ きのえ | 木行 | 陽 | 75度 |
乙 | オツ きのと | 木行 | 陰 | 105度 |
丙 | ヘイ ひのえ | 火行 | 陽 | 165度 |
丁 | テイ ひのと | 火行 | 陰 | 195度 |
戊 | ボ つちのえ | 土行 | 陽 | -- |
己 | キ つちのと | 土行 | 陰 | -- |
庚 | コウ かのえ | 金行 | 陽 | 255度 |
辛 | シン かのと | 金行 | 陰 | 285度 |
壬 | ジン みずのえ | 水行 | 陽 | 345度 |
癸 | キ みずのと | 水行 | 陰 | 15度 |
十干 | 読み | 五行 | 陰陽 | 方位 |
子 | ね | 水行 | 陽 | 0度 |
丑 | うし | 土行 | 陰 | 30度 |
寅 | とら | 木行 | 陽 | 60度 |
卯 | う | 木行 | 陰 | 90度 |
辰 | たつ | 土行 | 陽 | 120度 |
巳 | み | 火行 | 陰 | 150度 |
午 | うま | 火行 | 陽 | 180度 |
未 | ひつじ | 土行 | 陰 | 210度 |
申 | さる | 金行 | 陽 | 240度 |
酉 | とり | 金行 | 陰 | 270度 |
戌 | いぬ | 土行 | 陽 | 300度 |
亥 | い | 水行 | 陰 | 330度 |
■五行の相生 五行の相剋
五行思想の最大の特徴は、「五行」同士の関係に、「相生」と「相剋」という関係性があることになります。 それぞれの五行同士が、どのように影響を与えあうのかという考え方で、五行を考える際には外せない重要な要素にもなります。 中国の占術は、陰陽五行思想という哲学が背景にあるため、陰陽思想や五行思想を理解したうえで、占いを考えていくことが必要になります。 この五行の相生、五行の相剋の関係の考え方は、中国の占術を用いる際には必須事項と言うべき考え方になります。
五行の相生関係とは、五行が別の五行を生み出すという考え方になります。 木行が火行を生じ、火行が土行を生じ、土行が金行を生じ、金行が水行を生じ、水行が木行を生じるという考え方になります。 木が燃えて火を生じ、火は燃えて土を生じ、土の中から金が採取され、金が結露して水が生じ、水は木を育むという基本概念になります。 この考え方は、基本的な概念であり、実際に事象として考えるには少々無理がある部分もありますが、そこは概念として捉えるという認識が重要になります。
五行の相剋関係とは、五行が別の五行を剋するという考え方になります。 木行が土行を剋し、土行が水行を剋し、水行が火行を剋し、火行が金行を剋し、金行が木行を剋するという考え方になります。 木が土の養分を吸収し、土が水の流れを堰き止め、水は火を消し、火は金を溶かし、鉄で木を伐採するという基本概念になります。 この考え方は、五行の相生の考え方と同じで、実際の事象として考えるには少々無理がある部分もありますが、基本概念として捉えるという認識が重要になります。
五行の相生
五行の相剋
五行 | 五行 | 十干 |
木行 | 火行 | 木が燃えることにより火を生み出す |
火行 | 土行 | 火が燃えることにより土が生まれる |
土行 | 金行 | 土の中(地中)から金(鉱物)が採掘される |
金行 | 水行 | 金(鉱物)が結露して水が生まれる |
水行 | 木行 | 水の潤いが木を成長させる |
五行 | 五行 | 十干 |
木行 | 土行 | 木は土の養分を吸い取り成長する |
土行 | 水行 | 土は水の流れを堰き止める |
水行 | 火行 | 水は火を消してしまう |
火行 | 金行 | 火が熱く燃えて鉄(金)を溶かす |
金行 | 木行 | 斧(金)で木を伐採する |
■十干十二支と六十干支
古代中国では、十干と十二支は年月日時や方位や角度の順を表すものととされていました。 十干「甲乙丙丁戊己康辛壬癸」と十二支「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」を組み合わせて六十干支が生成されます。 「甲と子」「乙と丑」「丙と寅」「丁と卯」~「癸と亥」の60の組合せになります。 順に組み合わせていくため、最小公倍数の60の組合せになります。 陰陽思想の概念と合わせ、十干と十二支は「陽干と陽支」「陰干と陰支」の組合せだけになり、「陽干と陰支」「陰干と陽支」の組合せはありません。 そのため、六十干支で一巡し、「甲と子」に戻ります。
古代中国から、この六十干支が日の順を示すものとして延々と繰り返されているものとなります。 その起源はいつからなのかは明確になっていませんが、日の順を表す指標として六十干支が古代から現代まで延々と続いています。 六十干支でもあるため、60日毎に同じ周期(干支)を繰り返し、現代に至ります。 この表記法はどの年代や暦法とも関係なく、日の順を表すものとして重要な位置を占めています。 その後、月や年、時間にも同じ六十干支の表記が適応され、現代にも年月日時を表すものとして続いています。
農耕暦
日晷儀(晷針)
陰陽五行思想や、太陽の黄経の概念が加わり、節月や二十四節気などの概念を持ち、暦として整理されていくことになります。
甲子 | 丙子 | 戊子 | 庚子 | 壬子 |
乙丑 | 丁丑 | 己丑 | 辛丑 | 癸丑 |
丙寅 | 戊寅 | 康寅 | 壬寅 | 甲寅 |
丁卯 | 己卯 | 辛卯 | 癸卯 | 乙卯 |
戊辰 | 庚辰 | 壬辰 | 甲辰 | 丙辰 |
己巳 | 辛巳 | 癸巳 | 乙巳 | 丁巳 |
康午 | 壬午 | 甲午 | 丙午 | 戊午 |
辛未 | 癸未 | 乙未 | 丁未 | 己未 |
壬申 | 甲申 | 丙申 | 戊申 | 庚申 |
癸酉 | 乙酉 | 丁酉 | 己酉 | 辛酉 |
甲戌 | 丙戌 | 戊戌 | 庚戌 | 壬戌 |
乙亥 | 丁亥 | 己亥 | 辛亥 | 癸亥 |
■暦と四柱推命
六十干支での年月日時の表記が確立され、節月や二十四節気の概念なども取り入れながら、干支暦というものが確立されていきます。 基本は太陽の運行を元にした太陽歴であり、農作業の目安とされる暦でもあり、国を治めその繁栄と豊穣を目指すには欠かせないものになります。
四柱推命はこの六十干支で構成されている暦を用いて占う占術であり、生まれた年月日時をこの六十干支で表記し、その組み合わせによって運勢や潜在能力を占います。 古くから続くこの暦を研究し、体系化されてきたのが四柱推命であります。
文献的には1100年代の中国南宋の徐居易(徐子平)の書が最古とされているため、四柱推命は中国では「子平」と呼ばれます。 生年月日時の干支から人の性格や傾向、潜在能力を推察していたのは、戦国時代(紀元前400年~ 200年頃)との説もあります。 文献としてまとめられたのは1100年代でも、その基本概念や情報量は、古代中国から延々と積み重ねられたものでもあります。
古くは、暑い時期に生まれた人は、熱い人が多い。 甲の日に生まれた人は背が高いか、細い人が多い。 というような個々の情報が、数百年、数千年と積み重ねられてきたのが四柱推命の歴史でもあり、情報量の豊富さ、現代の四柱推命の立ち位置でもあります。 自然界の理が人類の誕生に与える影響を考察していくのが、四柱推命でもあり、自然界の理(暦)を認識しての四柱推命は、まさに自然と人類の成り立ちを深めるものでもあります。 占いの帝王と呼ばれる四柱推命は、このような情報量の多さや自然哲学が背景にあるためです。
農耕暦
暑い時期
■四柱推命の考え方
四柱推命は、生まれた年月日時を六十干支に置き換え、その八字の関係性を掘り下げていくことから始まります。 そのため、中国では日本で言うところの四柱推命を「八字」と呼ぶこともあります。 年月日時それぞれの六十干支を並べることから、日本では四柱推命と呼ばれています。 四柱とは「年柱」「月柱」「日柱」「時柱」になります。 出生時間が分からない場合、「年柱」「月柱」「日柱」の三柱になってしまいます。
四柱推命では、特に「日柱」を重視し、「日干と年月時干」「日干と年月日時支」の関係性を掘り下げていきます。 この他にも「年干と月干」「年支と月支」の関係性をみていくことなども大事になります。 この関係性を考慮する際に大事になるのが、上記で解説してきた陰陽五行思想になります。 天干(年月日時の十干)や地支(年月日時の十二支)の五行の相生相剋関係を見ることや、特別な相性の有無などを考察していきます。
行運を考慮する際には、出生時の八字と、経過している干支暦の関係性、相性などを考慮しつつ、運勢の良し悪しや波を考察していくことになります。 非常に多くの手法や考察法などがあり、重要視する場所も四柱推命の流派により、色々と異なる部分が多くもなります。 かなり複雑な内容にもなるため、一概に解説をする事ができない部分にもなりますが、四柱推命の基本中の基本は、陰陽五行思想にあるというのはどの流派でも同じことになります。
時柱 | 日柱 | 月柱 | 年柱 |
壬 | 庚 | 戊 | 甲 |
午 | 寅 | 辰 | 子 |
■四柱推命の流派
四柱推命の流派には、様々な流派が存在しています。 それぞれの流派では独特な考え方があり、どの流派が正しく、どの流派が間違っているというのはありません。 それぞれの流派で四柱推命を研究し、その重要とする得意分野を掘り下げているのが流派でもあり、それぞれの特性を考慮し、活用することが大事でもあります。 特定の考え方に固執すると、他の良い部分が見えなくなるため、様々な考え方を考慮し、四柱推命の知識を深めることが大事になります。
狭い日本の四柱推命の流派に固執せず、中国の子平や八字も併せて研究していくことで、実に多くの知識を得ることもできます。 また、実際に多くの人を四柱推命を用いて鑑定していくことで、その知識を消化し、独自の考え方を掘り下げていくこともできるでしょう。 知識を掘り下げていくのも四柱推命の醍醐味でもありますし、実際の鑑定で様々な面をみていくのも四柱推命の面白さでもあります。
当社関連サイトでは、「命主風水派」の四柱推命を基本としています。 易学を思想的基本とし、立命を施すことを目的とする風水の流派になります。
四柱推命の流派
立命
■四柱推命の得意分野と位置付け
四柱推命の得意分野は、その人の持つ潜在能力や性格、運勢の傾向を占うことになります。 どのような性格の持ち主で、どのような運勢を持ち、どのような人生を歩むのかを占うことが得意の分野であります。 秘めたる潜在能力を的確に占い、そのポテンシャルを最大限に発揮させるのが、四柱推命の本来の活用法になります。 人生の目的や方向性、成功するために必要な事、人との相性や可能性などを掘り下げることができます。 上記のようなことから四柱推命は、その人の気持ちや深層心理などの、目に見えないものを占うには適していません。
四柱推命は「命術・卜術・相術」で言うところの「命術」にあたります。 その人の生まれた生年月日時から、その人の持つ潜在能力や将来性、性格や運勢の傾向を占うことに適しています。 目に見えない人の気持ちや深層心理、具体的に起こる将来の出来事などを占うには適していません。 四柱推命は、運勢の良し悪しや、どのような行動を取ることが大事なのかを占うことができます。
命術 | 生年月日時から算出 | ←四柱推命 |
卜術 | その場の機運から算出 | |
相術 | 見た目や様相から算出 |